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フェルナンド・トーレスには
「絶対に忘れない」Jリーグの試合がある (2ページ目)

  • 井川洋一●構成・文 text by Igawa Yoichi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 最終的には、その次の最終節で鹿島アントラーズと引き分けて残留が確定したわけだが、鳥栖にとって、あのトーレスの逆転ゴールが持つ意味は非常に大きかった。昨シーズンは3得点、今シーズンは2得点と、彼が残したゴール数は決して多くなかったが、ここぞという時に重要な働きを見せたのだ。

 そんなトーレスの活躍について、村井満チェアマンは次のように話した。

「やっぱり、前線の中央で『ボールを任せろ!』と構える姿でしょうか。オーラと言ってしまうと手垢のついた表現なんですけど、そういうものを感じました。味方も敵もファンも、本当にみんながトーレスさんを見ていました。惹きつけられるものがありましたよね」

 現役を引退したあとも鳥栖のアドバイザーとして、クラブやJリーグと関わり続けるトーレスは、「今後、(Jリーグに)もっと外国籍選手が増えると思う」と言う。とくに彼やアンドレス・イニエスタの同胞が多くなる気がしているそうだ。

「日本のクオリティーの高い生活やJリーグの優れた競争力を、多くの人に伝えていきたい。この国には、親切な人々がたくさんいて、おいしい食事や美しい文化もある。それからどんな選手でも、Jリーグで成長できる。レベルが高いから、欧州主要リーグへのステップと捉える選手が出てくるかもしれない。

 だから、今後はさらに多くの外国籍選手がやってくるだろう。とくにスペイン人選手が増えるんじゃないかな。なにしろ、僕らスペイン人がスムーズに順応できたわけだからね」

 トーレスの言葉に大きく頷く村井チェアマンからも、世界中のフットボーラーへメッセージが発せられた。

「サッカーの世界で中心といえば、ヨーロッパと南米ですが、次に続くのはアジアだと思います。人口が多く、発展の余地が大きく残されていますから。そのアジアのサッカーの中心にいるのは、日本、そしてJリーグだと思っています。

 とてもベーシックなことですが、Jリーグでは給料の未払いや遅配がなく、スタジアムはとても安全です。これまでの歴史のなかで、八百長なども一切ない。また日本代表がW杯に6大会連続で出場しているように、育成の力もついてきていると思います。土台はしっかりしているので、トップレベルの選手はもちろん、これから成長したいと考える選手たちにも、どんどんドアをノックしてもらいたいですね」

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