2019.12.20

知性と覇気のストライカー、
ダビド・ビジャ。有終の美を飾れるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by SportsPressJP/AFLO

 元スペイン代表FWダビド・ビジャ(38歳)が、いよいよスパイクを脱ぐ日が近づいてきた。今シーズン、ヴィッセル神戸に入団し、リーグ戦は13得点を記録(1位と2点差の5位)。十分に健在ぶりをアピールしたが、本人は「サッカーに終わらされるのではなく、自ら幕を引く」という引き際を選んだ。

「みんな、タイトルやゴール数に目が行くだろう。しかし、フットボールはそれだけではない。大切な友人やかけがえのない経験、その時間を楽しむことができたし、豊かな人生になったと思う」

 引退に際してのビジャの声明に、その人生観が集約されていた。華やかさを求めず、チームのひとりとして戦った。一方で責任を背負うことをためらわず、ひたすら目の前の勝利を目指した。

 ビジャが、「世界最高のストライカー」と尊敬される理由だ。

 Jリーグ最終節終了後のセレモニーで、盟友アンドレス・イニエスタとビジャは2001年6月に2部スポルティング・ヒホンのトップチームでデビュー後、ゴールゲッターとして生きてきた。10代でスタメンをつかむと、2003年に移籍した1部サラゴサでも得点を量産。2005年には当時、優勝を争っていたバレンシアに移籍し、リーガ有数のストライカーとなった。2009年にはリーグ自己最多、同クラブ史に残る28得点を記録している。

 キャリアのハイライトと言えるのが、2010-11シーズンだろうか。

 2010年、スペイン代表として勝ち取った南アフリカワールドカップ優勝と得点王の肩書きをひっさげ、バルセロナへ移籍。リーガ・エスパニョーラ、チャンピオンズリーグを圧倒的な攻撃力で制覇した伝説的チームの一翼を担った。サミュエル・エトー、ズラタン・イブラヒモビッチなど、点取り屋と折り合いが悪かったジョゼップ・グアルディオラ監督をも、唸らせた。

 ビジャはバルサでサイドのポジションを任され、チームプレーにアジャストしながら、ゴールも決めている。守備を献身的に行ない、味方のためにスペースを作る動きもこなしつつ、エゴを出さない。リオネル・メッシという存在とも共存できた。

「非常に賢いFW」と、グアルディオラはそのインテリジェンスを激賞している。