鹿島、ACL連覇ならず。なぜ「優勢」でも勝ち切れなかった?
週末に行なわれたJリーグで、首位を行くFC東京に2-0で完勝した鹿島アントラーズ。その差を勝ち点1に詰め、いまにも首位の座を奪おうという勢いにある。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝。広州恒大との第2戦が行なわれたのは、FC東京戦の4日後になる。
第1戦のアウェー戦は0-0。しかし、試合内容では勝っていた。鹿島はとくに後半、Jリーグの試合と変わらぬいいサッカーを展開。第2戦のホーム戦をいい流れで迎えることができた。不安点を挙げるとすれば、三竿健斗と白崎凌兵がFC東京戦で負傷し、この試合のメンバーから外れたことにあった。
しかし、この件に関しての心配は杞憂に終わった。代わりにピッチに立った永木亮太、名古新太郎は好プレーを随所で披露。彼らの活躍もあり、鹿島は立ち上がりから試合を優位に進めた。永木、名古に限らず、鹿島の強みは誰が出場しても各選手がほぼ同水準のプレーをすることだ。ひと言でいえば、選手層が厚いということになるが、監督の使い回しのうまさも見逃すことができない。鹿島の"ステディさ"を語る時、これは欠かせぬポイントになる。
14分にレオ・シルバが、32分にはセルジーニョが際どいシュートを放つ。このあたりまで流れは鹿島にあった。それは第1戦から続くものでもあった。違いはパスコースにあった。鹿島は広州恒大をプレーの選択肢の数で上回っていた。面白そうに見えるサッカーと言ってもいい。
広州恒大に引き分けてACL準決勝進出を逃し、倒れ込む鹿島アントラーズの選手たち 風向きが変わったのは前半の半ばすぎから。広州恒大には、それなりのレベルを誇る助っ人がいる。エウケソン、アンデルソン・タリスカ、そして元バルサのパウリーニョのブラジル出身トリオだ。局面を一瞬にして打開するその個人の力に、鹿島は苦しめられ始めていた。
そして前半40分、まさかの失点を許す。ピンチをコーナーに逃れたその直後だった。CKを、191㎝の長身選手タリスカに、高々としたヘディングでズドンとぶち込まれてしまったのだ。アウェーゴール。瞬間、鹿島には2ゴールが必要になった。勝ち抜くためのハードルはこれで一気に跳ね上がった。
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