鹿島、ACL連覇ならず。なぜ「優勢」でも勝ち切れなかった? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 想起したのは内容で上回った第1戦の戦いだ。だが結果は0-0。「アウェーは引き分けでオッケー」とは、広くこの世界に浸透している言い回しだが、それは少々大雑把すぎる括りだ。スコアレスドローとアウェーゴールを奪っての引き分けとでは大違い。同じ引き分けでも天と地の差がある。

 ディフェンディングチャンピオンであることを意識したのか、鹿島は、リスクを恐れた静かな戦いに徹しているように見えた。55対45以上の関係で、試合を優勢に進めていたにもかかわらず。その成果が0-0では物足りない。引き分けるなら2-2ぐらいでないと割が合わない内容だった。

 第2戦の後半。2点を奪わなければ勝ちがない鹿島は、立ち上がりから攻め立てた。そして割と早い時間に、同点ゴールを奪うことに成功する。後半6分、レオ・シルバがゴール左斜め45度の位置から放ったシュートが、コースが変わりゴールに飛び込む。

 1-1。そこからタイムアップの笛が吹かれる39分+4分間(アディショナルタイム)の間、試合はほぼ鹿島ペースで推移した。いつ2点目のゴールが入ってもおかしくない展開のまま、エンディングに向かっていった。後半30分にはセルジーニョが左足シュートを放つも、バーに当たる。

 最後のワンプレーも惜しかった。レオ・シルバが左からセルジーニョとのワンツーで抜け出してシュート。決まったかに見えた瞬間、広州恒大のディフェンダーがシュートを掻き出していた。

 タイムアップの笛が鳴ったのは、その瞬間だった。シュートを放ったレオ・シルバと攻め上がっていたチョン・スンヒョンがピッチに突っ伏す。広州恒大も4人の選手がバタリと倒れ込んだ。激闘。こう言っては何だが、久々に見るスリル満点の好試合だった。

 日本のディフェンディングチャンピオンが敗退したとなれば、残念で悲しいニュースに聞こえるが、少なくとも「鹿島人」ではない第三者には悪くない敗退劇に映った。「サッカーなので勝つこともあれば負けることもある」と大らかな気分に浸ることができる、「また来年頑張ろう。次はJリーグ。逆転優勝目指して頑張るぞ」と、気持ちを切りかえやすい負け方と言えた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る