2019.08.16

主力が抜けても鹿島が強い原動力。
「潤滑油」土居聖真が地味にスゴイ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

今季はここまで21試合に出場し、4得点の土井聖真(鹿島アントラーズ) J1リーグ第22節に横浜F・マリノスを下し、2位に浮上した鹿島アントラーズ。FC東京との勝ち点差(7差)はなかなか詰められずにいるものの、代表級の主力選手(金崎夢生、昌子源、植田直通、西大伍、安西幸輝、鈴木優磨、安部裕葵、金崎夢生ら)が続々と退団していった経緯を踏まえれば、よくやっていると評価することができる。別のチームというと大袈裟だが、短期間で顔ぶれがここまで一変した日本のチームも珍しい。

 まず讃えられるべきは監督だ。一昨季の途中、鹿島はアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のベスト16で敗退するや、時の監督、石井正忠氏をあっさりと解任。大岩剛コーチを監督に抜擢した。監督経験のないコーチを内部昇格させたとなれば、それはつなぎ役と考えるのが自然である。Jリーグにあっては指折りの名門チームとあればなおさらだ。ほどなくして、ブラジルから名のある監督を連れてくるのかと思われた。

 それから丸2年以上が経過した。昨季はACLを制し、クラブW杯でもベスト4入りを果たした。大岩監督にもはやつなぎのイメージはない。

 目立つのは、やりくりのうまさだ。手堅い勝利を重ねているように見えるが、出場する選手はその都度、変わっている。石井前監督時代もそうだったが、多くの選手を使おうとする民主的なところが、チーム全体のモチベーションアップにつながっている印象だ。その結果、選手層が厚くなる。主力が退団しても、ダメージを最小限に食い止めることができる。鹿島を語る時、まず取り沙汰されるのはジーコ・スピリットだが、こちらのほうが具体的かつ大きな要素に見える。

 一方で目を引くのは、混沌とするチームの中にあって存在感を発揮する選手だ。守備的MFもSBもこなす永木亮太の多機能に触れたことがあるが、普遍的な存在として、それ以上に特筆しなくてはならない選手は、前方でプレーする土居聖真になる。

 鹿島生え抜きの27歳。先述の横浜FM戦でヒーローの座に輝いたのは、1-1で迎えた後半42分、決勝ゴールをマークした上田綺世(あやせ)だった。若手主体で臨んだコパ・アメリカの日本代表に選ばれた法政大学3年生。卒業する前に鹿島入りした旬のストライカーが見出しを飾ることになった。