サッカー競技規則改正。FKの壁に関する新ルールの影響はけっこうデカい (3ページ目)

  • 清水英斗●取材・文 text by Shimizu Hideto
  • photo by AFP/アフロ

 あとは宇賀神が言うように、1メートル離れつつ、どうやってGKからボールを隠すか。壁の前か、壁の後ろか。これはさまざまな方法が出てきそうだが、小川審判委員長は、レフェリーの目線から注意点を述べた。

「ヒザを地面に着いてボールを隠すチーム、ありますよね。あれって、非常に危険だと思いませんか? ふくらはぎとアキレス腱を相手に晒している。(クイックリスタートなどで)ボールがインプレーになった瞬間、守備側はボールにラッシュしていいんですよ。そこで仮に強く踏まれてしまうようなことがあれば深刻なダメージになるのに、そういうリスクをなぜ選手が取るのか、いつも不思議です。

 競技規則には書いていないですが、FIFAの大会では、そういう姿を見ないですよね? なぜかと言うと、(ヒザ立ちの選手が)相手の進路を妨げるとして、蹴った瞬間にピッと笛を拭き、守備側のフリーキックにすると事前にチームに伝えられており、試合中にもレフェリーが予め選手に伝えているからです。だからFIFAの大会では見られないんですよ。

 Jリーグでも見ますが、壁の下を抜かれないように、寝転ぶ選手がいますよね。あれも不思議に思うんです。危険な方法でプレーしているんじゃないか、と。アクシデントで踏まれたら結構なダメージになるのに、指導者の方がそれをやりなさいと言っているのなら、それは選手の安全を考えているんだろうか、と。

 そういう手段がワールドカップで見られないのは、事前にチームと審判サイドで確認されているからです。でも僕らは"競技規則に示されていないことについて「ダメ」"と、注意することができないんですよ。FIFAが集中的に開催する大会と、10カ月以上にわたる国内リーグでの運用に幾分かの違いがあるかもしれませんね」

 日本は高校サッカーを含めて、セットプレーの駆け引きは多く見られる。性善説というか、わざと相手の足を踏むような選手がいないからこそ、成り立つ面はあるかもしれない。しかし、そうした方法は、少なくとも国際的には通用せず、自身や味方を危険にさらすことであるのも、全カテゴリーの選手や監督は意識したほうがいい。

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