FC東京の戦略に自慢の守備が崩壊。
上位進出へC大阪は課題克服が必要
――リーグ最少失点を誇るチームが、今日は3失点を喫しましたが?
試合後の記者会見で、セレッソ大阪を率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、その質問に淡々と答えた。
「最少失点というデータは気にしていない。目の前の相手とのスコアが大事」
ロティーナはいつだって、簡潔である。物事を不必要にドラマチックにしない。バスク人特有のキャラクターで、現実的、実務的な思考というのか。
では、なぜセレッソは目の前の敵に3-0と完敗したのか。
酷暑のなか、FC東京に敗れたセレッソ大阪の選手たち 8月3日、味の素スタジアム。7位のセレッソは、首位を走るFC東京の本拠地に乗り込んでいる。
セレッソは前半からボールを握り、試合を支配した。両サイドバックが高い位置を取って、サイドアタッカーがラインの間を取る。ブルーノ・メンデスが相手ディフェンスからボールをはぎ取って、きわどいシュートをGKに浴びせ、清武弘嗣が意表を突くような左足シュートを見舞った。
一方、FC東京は戦略的に挑んでいた。
<体力的なことも考えて、無理して前からプレスに行かなくていい>
酷暑の中、FC東京陣営は体力を温存。リトリートし、カウンターを狙う戦いを徹底していた。相手にボールを持たせていたのである。
そして後半に入ると、前からプレスに行く戦いに切り替えた。
後半立ち上がり、セレッソはFC東京の猛烈なプレスに動揺し、ボールをつなげなくなる。守備も後手に回って混乱。47分、ディエゴ・オリヴェイラにバックラインの前に入られてキープされ、展開されてしまう。左サイドから東慶悟に右足で上げられたクロスに、GKキム・ジンヒョンが慌てて飛び出すが、ボールに触ることができない。永井謙佑のヘディングシュートを無人のゴールに浴びた。
「相手にボールを持たれる時間はあったが、ゼロに抑えながら修正してプレーできていた。何が何でも先制点を、というのはあった。やはり、パワーを使って取り返すのはしんどいので。東京は1点入ると勢いが出るチーム、そうなったら(相手の守りが)堅くても点は取れる」(FC東京・永井)
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