FC東京の戦略に自慢の守備が崩壊。上位進出へC大阪は課題克服が必要 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 先制された直後、セレッソは得意のカウンターからブルーノ・メンデスが前線でボールを収め、高い位置でボールを受けた水沼宏太が精度の高いクロスを送るも、奥埜博亮のヘディングはGKの正面だった。

 セレッソは結局、先制点を失い、千載一遇のチャンスを同点にできなかったことで、試合の趨勢はほぼ決した。

「東京は先制したことで、自分たちは勝てる、という確信を持った。セレッソは危険を冒し、攻めたが、その隙を相手に生かされてしまった。プレー全体では上回ったが......」(ロティーナ監督)

 68分、セレッソ陣営は、焦りからか自陣で不用意なファウルを犯して、FKを与えてしまう。ニアサイドへのボールは、森重真人にコースを変えられてしまい、追加点を浴びる。その後は、交代出場のソウザが強引にミドルを狙うものの、攻撃は単発。終盤は打つ手なしで、完全にパワーダウンした。そして後半アディショナルタイムには、オリヴェイラにとどめを突きさされている。

「悔しいですね。でも、ポジティブに考えれば、自分たちが上位を目指すための"現在地"を知れた試合になった、と思っています」

 今シーズン、セレッソの攻撃をけん引する水沼は、そう試合を振り返っている。水沼を右サイドに置いた4-4-2の布陣に切り替えて以来、降格圏が迫っていたチームは急浮上してきた。

「失点しても、じれずに戦うべきでしたね。慌てずにボールを回し、やり続ける我慢強さというか......。ただ、自分たちはロティーナと一緒にやることで、うまくなっているという実感があって。自分の場合は間でボールを受け、前にターンし、仕事をするとか、楽しさを感じられています。引いた相手にどう戦うか、という課題は出ましたが、(上位に進出するためにはシーズン)終盤ではなく、今見えたのはよかった。まだまだやれるはずなので」

 セレッソはFC東京に敗れたことで、上位進出の機会を逃した。しかし、暫定で7位をキープ。リーグ最少失点の守備の堅牢さを盾に、再び戦いを挑むだけの位置にはいる。

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