2019.08.03

動じない逸材・西川潤に監督から
重いメッセージ。夏の日本一は通過点

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

 優勝を逃した昨夏の決勝から1年。抜けるような青い空の下で、サックスブルーのユニホームを纏った選手たちの笑顔が弾けた。鈴木勝大監督は1年越しの歓喜に安堵の表情を浮かべ、2年生CBの奈良坂巧は人目を憚らずに号泣。昨年の悔しさを晴らすかのように、桐光学園に関わる誰もが感情を爆発させた。

初の日本一に輝いた、桐光学園 沖縄で開催された令和最初のインターハイ。1年前、三重の地でどん底に突き落とされた桐光学園が冬の選手権を含めて初となる日本一を勝ち取った。誰もが喜びに浸った優勝。だが、1年次から10番を背負ってきた西川潤はその脇で冷静にピッチを眺めていた。

「正直優勝してホッとしています。『ヨッシャー』というよりも、優勝できてよかったという気持ちがありましたね」

 1年前、西川は失意のどん底にいた。2年生エースとして初めて挑んだ夏の檜舞台。左足を駆使したドリブルと類い稀な決定力で観る者を唸らせ、準々決勝では4人抜き弾を含むハットトリックの大暴れで一気に評価を高めた。

 準決勝でも1ゴール。優勝すれば、”西川の大会”と言われていたに違いない。だが、サッカーの神様は最後の最後に微笑んでくれなかった。山梨学院との決勝。自身のゴールで1点を先行するも、後半アディショナルタイムに失点。延長戦で逆転されて、優勝を逃した。

 この時、自らのシュートミスがGKにキャッチされ、カウンターから同点弾を決められる要因となった。試合後、自責の念に駆られたのは言うまでもない。

「自分の得点で勝利ができれば、いちばんいい。とにかくチームを勝たせる選手になりたい。あの形で決めていればと思いますし、あそこから失点した。それは何度も思い出してしまいます。あとは決めるだけだったのに、うまく弾かれてしまったので悔しい……」

 あまりにも残酷な結末。自らのミスで優勝を逃した苦しみは当人にしかわからない。だが、その悔しさを成長のエネルギーに変えられたからこそ今がある。