スペインの名門で羽ばたく清水和也は日本フットサルのスターになる (3ページ目)

  • 河合 拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • photo by Kawai Taku

 続く2017-18シーズンには、すみだとプロ契約を結び、同クラブ初のプロフットサル選手となった。フットサルに専念できるようになった清水は日本代表の常連にもなり、リーグ戦では29試合で24得点という数字を残した。ところが、彼に対してスペインの1部クラブからのオファーはなかった。

「やっぱり日本代表での活躍が、海外クラブには引っ掛かりやすいんです。最初のオファーを断って、翌シーズンにキャリアハイのシーズンを過ごしましたが、1部チームからのオファーはありませんでした。それでもエルポソは『欲しい』と言い続けてくれたんです。今、考えると、もう1年早くスペインに行っていたら、また違ったのかなとも思いますよね」

 こうして清水は2018-19シーズンの序盤をすみだで戦い、欧州のシーズンが始まる夏を前にスペインへと渡った。世界各国から若手有望株が集まるエルポソBで、前線のポジション・ピヴォとして活躍し、6位になったチームで17ゴールを記録した。また、トップチームの練習にも参加すると、ジュストッシ監督からは「違いを出せる選手になれ」と言われ、強く結果を求められた。

※フットサルのポジション GKはゴレイロ、FP(フィールドプレーヤー)は、DF=フィクソ、MF=アラ、FW=ピヴォ。

 スペインで1シーズンを過ごしたことで、清水のプレーは洗練されていった。これまで以上に、相手が何をされると嫌なのかを考えるようになったという。

「エルポソでは、『この形でやる』というのがなくて、相手のシステムを見ながらどうやって崩していくかを考えていくんです。(前線にピヴォを置く)3-1のシステムを採用していても、それでパスが回らなければ、(前線にピヴォを固定しない)4-0にシステムを変えます。個人的にも、相手を見るようになりましたね。マークについてくる選手が『強いな』と感じたらサイドに逃げてみるとか、相手の情報を集めてプレーするようになりました。逆に僕にしっかりついてくるなら、降りて行って前線のスペースを空けるとか。常に相手が何をやりたいのかを考えて、動きなおそうと思っています」

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