2019.07.14

誤審は関係ない。浦和レッズの問題は
ゴールの匂いが感じられないこと

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 いつの間にかJリーグにも、VARが導入されていたのか。

 そんな錯覚に陥りそうになったほどの、ドタバタ劇だった。

 横浜F・マリノスの1点リードで迎えた59分、ゴール前に抜け出した遠藤渓太のシュートを、逆サイドに詰めていた仲川輝人が胸で押し込んで、追加点が生まれる。

 しかし、直後に浦和レッズの選手たちがオフサイドを猛烈にアピール。すると、レフェリーはインカムを使って何やら話し始め、副審にも確認を求めた結果、なんと、判定は覆り、オフサイドとなったのだ。

納得のいかない判定に対して審判に詰め寄る槙野智章 15年以上Jリーグを取材しているが、一度決まった判定が覆ったのは、初めて見る光景だった。VARの導入により、ワールドカップや先のコパ・アメリカでは頻繁に見られたものの、JリーグにVARが導入されるのは2021年になる予定だ。ならば、映像確認によりゴールかオフサイドかを判断することは、できないはずである。

 ところが、一度は認められたゴールが、オフサイドとなったのだ。横浜FM側が激怒するのは当然だった。

 すると、横浜FMのベンチ前で激しい抗議を受けたレフェリーは、再び判定を変えてしまう。仲川のゴールが再度認められたのだ。試合はおよそ9分の中断を経て、浦和のキックオフで再開された。

 映像を確認すれば、紛れもない誤審だった。

 仲川がオフサイドの位置にいたのは明らかで、浦和の選手はもちろん、横浜FM側にもオフサイドだと認めていた選手がいたと言う。仲川と競り合った宇賀神友弥のオウンゴールという見方もあるが、記録上は仲川の得点になっているのだから、その見解も当てはまらない。

 ただ、ここで問題なのは、レフェリーが曖昧な対応を取ってしまったことである。サッカーにはミスジャッジがつきもので、VARが導入されていない以上、誤りは正せない。とりわけ、一瞬の判断が求められるオフサイドは、もっとも難しいジャッジである。

 たとえミスであっても、毅然とした態度で判定を変えずにいれば、ここまで問題にはならなかっただろう。判定に自信を持てないなかでの優柔不断な対応が、前代未聞とも言える混乱を招いてしまったのである。