2019.03.30

トーレス不在で3戦負けなし。
鳥栖の「スペイン色」が抱えるジレンマ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「90分間で、足りなかったのはゴールだけだ」

 サガン鳥栖の指揮官であるルイス・カレーラスは、誇らしげな顔で言った。

 スコアレスドロー。GKの好守で完封し、終盤にあった得点機を逃した。その言葉は事実と反してはいない。

 しかし、どこか違和感があった。

「あとはゴールするだけだったのに」

 横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督も同じように嘆いたが、その言葉の方がよほど腑に落ちた。

横浜F・マリノス戦では前線で身体を張り続けた豊田陽平(サガン鳥栖) 3月29日、日産スタジアム。鳥栖は、前節のジュビロ磐田戦でようやくリーグ戦初勝利を収め、最下位から15位に浮上して、7位の横浜FMの本拠地に乗り込んでいる。エース、フェルナンド・トーレスがハムストリングのケガで不在。磐田戦、交代出場で決勝点を叩き込んだイサック・クエンカも、膝のケガを抱えてのメンバー入りだった。

 しかし皮肉にも、スペイン色が薄まったことによって、チームの調子は上向いていた。

 開幕3連敗で崖っぷちに立たされたカレーラス鳥栖は、トーレスを温存したルヴァンカップの柏レイソル戦から、尹晶煥監督時代と同じ4-4-2というフォーメーションを採用している。鳥栖が伝統にしてきた布陣で、昨シーズン終盤、金明輝監督も用いて成功(3勝2分け)。ぎりぎりでJ1残留を果たした。

「前から行くぞ!」