Jリーグ序盤、福田正博が気になる「王者川崎の足踏み」の原因を探る (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 これは大崎に限ったことではない。ビジャ、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキー、サンペール、ダンクレーの5選手がいるとはいえ、神戸の上位進出には日本人選手の成長は欠かせない。これから暑さの厳しい夏があり、故障の可能性もある。外国人選手が出場できない時に、代わりに出る日本人選手がどこまでやれるかがポイントになってくる。

 今シーズンは、神戸の躍進がJリーグ全体の観客動員面でも重要なものになる。昨年の神戸は前年比で約6万人も増えたが、これはイニエスタ加入後の半年間の数値。しかもイニエスタ効果は神戸だけにとどまらなかった。

 たとえば、昨季の浦和レッズはホームの観客動員が年間17試合で約3万4千人増えた。数字だけを見れば1試合あたり2000人の増員だが、実際はヴィッセル神戸戦で約2万5千人増。残りの約9千人の増員もフェルナンド・トーレスの加入したサガン鳥栖戦だった。元スペイン代表の2選手がいなければ、浦和の観客動員は前年より減っていた可能性もあったのだ。

 ビジャやダンクレー、サンペールという心強い味方を得たイニエスタが能力を存分に発揮しながら、神戸が優勝争いを繰り広げれば、彼らが出場する試合は、アウェーでもホームでもスタンドが満員になるはずだ。神戸がきっかけになって新たにスタジアムへ足を運ぶ人たちを増やしながら、Jリーグがさらに活性化し、その注目度が高くなっていくことに期待したい。

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