霜田体制の山口がJ2に旋風を起こす。「モデルはリバプールやマンC」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

「ミスしてもいいからどんどん仕掛けろと、選手には伝えている」

 レノファ山口を率いて2年目の霜田正浩監督は、そう言って笑みを洩らした。

「去年の小野瀬(康介)のように、このクラブで活躍して成長する(J1ガンバ大阪に移籍)、という選手がもっと出てきてほしい。そうすれば、レノファに来たい、という選手も増える。今年はおかげで、売り込まれるままでなくて、"自分たちがほしい"という選手と契約できるようになった」

 はたして、山口は旋風を巻き起こせるか?

レノファ山口を率いて2季目となる霜田正浩監督レノファ山口を率いて2季目となる霜田正浩監督 2月17日、山口はJ1セレッソ大阪を迎え、プレシーズンマッチを戦っている。結果から言えば、1-0の勝利だった。しかし特筆すべきはその内容だろう。長い時間、敵陣でボールをつなぎ、際どい縦パスを入れ、失っても出足の鋭い守備で、容易に攻め寄らせなかった。戦力差を考えれば、完勝に近い内容だ。

 霜田体制2年目、開幕に向けて仕上がりは悪くない。

「2点目を取れなかったのは課題」

 セレッソに勝利した後の記者会見で、霜田監督は敢然と言ったが、それだけでプレーモデルの一端が見える。攻め切る美学というのか。守って蹴るだけの戦いはしない。

 昨シーズン、霜田・山口は前半戦で首位に立っている。前にボールを運び、崩し切る強度と精度を誇った。ただ、主力の小野瀬が夏に移籍し、バックラインの脆弱さにより失点が増え、後半戦は失速した。それでも、8位はクラブ史上最高の順位だった。

 しかし霜田監督の真の功績は、小野瀬だけでなく多くの選手を成長、覚醒させた点にあるだろう。くすぶっていたリオ五輪世代のFWオナイウ阿道に得点を量産させ、J1大分トリニータに送り出した。また、素質をもて余していた三幸秀稔をアンカーとして用い、新境地を開かせている。

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