霜田体制の山口がJ2に旋風を起こす。
「モデルはリバプールやマンC」 (2ページ目)
魅力的なプレーモデルのおかげで、戦力補強にも成功した。コンセプトに合わない選手は獲得していない。すべて能動的な交渉だった。
「霜田監督に熱く説得してもらいました。このクラブでJ2優勝、J2得点王を、と。かけてみようと思いました」
元日本代表FWで、サンフレッチェ広島からの移籍を決断した工藤壮人は言う。
霜田監督は、かつて代表の技術委員長として日本サッカーの強化の頂点に立っている。山口でも、交渉では強化スタッフと同席。そこは強みだ。
「工藤は2年間、プレー機会が乏しく、まずは試合を重ねることが必要になる。でも、Jリーグでは飛び抜けたレベルの選手。工藤がエリア内でどれだけ前を向いてプレーできるか。そういうシチュエーションをたくさん作りたい。フィットすれば、必ず点は取れる。彼を再生するのは、自分たちの仕事だと思っている」
霜田監督は熱く言う。
今シーズンも、その手腕で選手を覚醒させつつある。セレッソ戦の得点シーンは象徴的だった。田中パウロ淳一が、右サイドでふてぶてしいボールの持ち方により1対1を制し、幅を作る。空いたインサイドにパスを入れ、それが左サイドへ。高井和馬が練習どおりの精度の高いキックでファーに蹴り込み、抜け目なく走り込んでいた吉濱遼平がヘディングで叩きつける。GKに一度は防がれたが、こぼれ球を左足で詰めた。いずれもJ1での実績はないが、名前以上のプレーで、ボールの動きは小気味よかった。
「吉濱はスキルがあるし、左足のキックはストロング。あとはチームの勝利の部分でその能力を使えるか。セレッソ戦のようにクロスに飛び込む、という動きができてくれば面白い。高井は、小野瀬のように成長してほしいね。田中はもっといい位置でボールを受けられるようになったら、あの切り返しは止められないよ。他にも、どの選手もチャンスがある。そういう選手しか取っていないから」
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