名伯楽ネルシーニョは白黒はっきりさせる。柏は1年でJ1に戻れるか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 鈴木潤●撮影 photo by Suzuki Jun

 僕も京都で監督をやったことがあるんですけど、決断するのは簡単ではない。シーズンが始まれば、考える時間も限られてくる。状況に応じて毎回決断していくことは、本当に難しい仕事ですから」

 布部GMは、今オフの補強策についても、ネルシーニョ監督と密にコミュニケーションを取りながら進めてきたという。

 柏には若く、才能あるタレントが多数揃うが、J2に降格したことによって他チームからの草刈り場となる可能性もあった。実際に日本代表に名を連ねる伊東純也(ゲンク)をはじめ、中山雄太(ズヴォレ)、鈴木大輔(浦和レッズ)らがチームを離れている。

 一方で、浦和レッズから菊池大介、ヴィッセル神戸から高橋峻希、京都サンガから染谷悠太と実績のあるタレントを迎え入れた。ふたりのブラジル人の存在も、小さくない上積みだ。

「抜かれる可能性を考慮しながら、そのポジションにJ1、ACL経験のある選手をできるだけ取ろうと話し合いました。あとは、千葉県にゆかりのある選手、もちろん年齢のバランスも考慮しました。ほぼ毎日のように監督と話をしながら、現場の考えを反映した補強ができたという自負はあります」

 布部GMは、あくまで現場ファーストでチーム作りを進めていることを強調した。

 大谷が言うように、チームが一枚岩になれなかったのが降格の原因のひとつだったとすれば、今季は現場とフロントが一体となって、理想的なチーム作りができているということだ。

 もちろん、ネルシーニョ監督の過去の実績がそのまま、今季の結果につながるかは未知数の部分が多い。戦力的には抜きん出ているとはいえ、J2での戦いは一筋縄ではいかないだろう。

「監督も言っていたけど、他のチームは何とか(上位を)食ってやろうという高いモチベーションで僕たちに挑んでくると思います。去年もJ2に落ちたチームが上がれなかったように、J2のレベルも上がってきている。僕だけでなく、全員が難しいシーズンになるという覚悟を持っています」

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