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10年在籍のFC東京から名古屋へ。
米本拓司の苦悩「最後のチャンス」 (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 小早川 渉●撮影 photo by Kobayakawa Wataru

―― チャレンジしたいという想いは、いつごろから芽生えたんですか?

米本 去年のことを話したら長くなりますけど(笑)、本当にいろんなことを考えた1年でしたね。試合に出られない時期に、「ここで俺がふてくされたら、それを見た若い選手たちはどう思うんだろう」とか。

 僕がプロ1年目のころ、サリさん(浅利悟)とかが出られなくなったんですけど、決してふてくされるようなことはなかった。だから、自分も同じ境遇になって、ふてくされたら絶対にダメだと思った。このチームを変えたい、このチームを優勝させたい、という想いでやっていました。

―― シーズン中は。

米本 はい。だから、次の時代を担っていく(平川)怜や(品田)愛斗、マコ(岡崎慎)やウッチー(内田宅哉)とかには「J3で満足していたらダメだぞ」っていうことを伝えていたし、彼らがトップチームに来た時には、すんなり入れるようにパイプ役を買って出たつもりだし。自分が「J3に行け」と言われた時も、嫌がらずに行って。

 でも本当は、もっとワガママをしたかったんですよ。今、試合に出ているボランチには負けてないと思っていたし、試合に出られないなら移籍させてくれ、という気持ちもやっぱりあったので。でも、それは言えない。だから、すごく葛藤していて......。

―― 3度目のケガから復帰した2017年はJ3でのプレーを余儀なくされたけど、今まさに名前を挙げた若い選手たちと将来、トップチームでリーグタイトルを獲るということを思い描いて自分を奮い立たせていた。シーズン終了後には、「もう一度、このチームでタイトルを獲りたいという気持ちが強くなった」とも言っていた。だから、このチームをよくしたいという想いと、でも、自分はこのままでいいのかという想いが去年はぶつかり合ったというか。

米本 そうですね。チームがうまく回るように、という想いは常にありましたけど、それでも途中で思ったりするんですよ。こんないい子ちゃんを演じてないで、クラブから「もうお前はいらない。出て行っていいよ」って言われるくらいワガママに振る舞っていたら、夏に移籍できたかもしれないなとか。後半戦はチームも勝てなくなってストレスも溜まったし、本当にいろいろなことを考えた1年でした。

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