組織力だけでは限界だったベガルタ。
タイトル獲得へ本気度が試される (2ページ目)
スコアは2-5の完敗。試合後に「もっと全員でパスを受ける意識を高める必要がある」と野津田岳人が苦言を呈したように、横浜FM戦の仙台はボールをもらうことを恐れているように感じられた。
しかし、この日は違った。選手たちが間に顔を出してパスを受け、スペースを見つければ果敢に飛び出していく。縦パスを入れる強気の意識も備わり、タイトル獲得への執念を示し続けた。
「今日のゲームに関して言えば、今まで積み上げてきたものがたくさん表現できたと思う。やはり恐れずに、強気にしっかりポジションを取って、ボールを動かして相手を動かせば、これぐらいのことができるということを、最高の舞台で表現できたと思います」
渡邉監督も目指すスタイルを体現した選手たちに、最大級の賛辞を贈った。
ただ、ポゼッションで上回り、浦和の倍以上のシュートを放ちながらも、ゴールはどこまでも遠かった。押し込んでいるようで、最後の場面を切り崩せない。高い集中力を保ち、わずかな隙も見せることがなかった浦和の堅守を上回る術(すべ)を、仙台は持ち合わせていなかったのだ。
足りなかった部分を問われた仙台の選手たちは、おおむね同じような見解だった。
「やっぱりゴールの部分だと思います。あっちは1点獲って、こっちは1点も獲れなかった。ゴール前でのスキルだったり、チャンスでの落ち着きだったり、そういうところがないとなかなか難しいかな、と感じました」(奥埜博亮)
「ボールを動かせた部分はあったんですけど、そこから点を獲り切るっていうところと、ゴール前に入っていく怖さがまだ足りなかったのかなって思います」(野津田)
結局、行きつくところは"個人"なのだろう。いくら優れた組織性を備えていても、最終局面で違いを生むのは、やはり個の力に託される。
今大会でブレイクの予感を漂わせたジャーメイン良は、槙野智章、阿部勇樹ら実力者を前に、ポストプレーこそこなせたものの、ゴールに向かう怖さを示すことができなかった。
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