2018.12.11

組織力だけでは限界だったベガルタ。
タイトル獲得へ本気度が試される

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「準決勝を突破した喜びよりも、数百倍、数万倍悔しいな、ということを感じさせられました」

 試合後、渡邉晋監督は悔しさを隠しきれず、偽らざる心境を吐露した。

 4日前にモンテディオ山形を撃破して、ベガルタ仙台はクラブ史上初めて天皇杯の決勝の舞台に立った。ひとつの歴史を塗り替えた余韻に浸る間もなく迎えた、この決勝戦。しかし、立ち上がりに失った1点を取り返せずに、浦和レッズの歓喜を目の前で見せつけられた。

天皇杯の決勝で惜敗を喫したベガルタ仙台 浦和のホームスタジアムで行なわれたファイナルは、仙台にとってまさに完全アウェーの状況だった。試合が始まる前からディスアドバンテージが働いていたと言えるが、仙台の選手たちはその過酷な環境に動じることなく、勇敢に立ち向かった。

 浦和のプレッシャーをモノともせず、最終ラインから正確にパスをつなぐと、両サイドの攻め上がりを有効活用し、相手ゴールに迫っていく。試合の入りは間違いなく、仙台のほうが勝っていた。

 ところが、流れを掴みつつあったなか、浦和のシンプルな攻撃に背後を突かれると、そこで与えたコーナーキックから宇賀神友弥にスーパーボレーを叩き込まれてしまう。めったにお目にかかれないゴラッソを浴び、これで一気に苦しくなった。

 それでも、仙台は渡邉監督のもとで培ってきた、ボールを大事にするスタイルを崩さなかった。

「失点後はしっかり我々がボールを動かして、相手を動かして、意図的に相手のボックスに迫る、ゴールに迫るっていうものを表現できたと思います」

 指揮官が振り返ったように、小気味よくパスをつなぎ、複数が連動して、反撃の糸口を探っていった。

 9月下旬に行なわれたJ1リーグ第28節の横浜F・マリノス戦。仙台は相手のハイプレッシャーに苦しみ、ボールをつなぐことすらままならなかった。ボールを縦に入れる勇気を欠き、パスは横や後ろに動くばかり。結局、ロングフィードを蹴りこんで、簡単に相手にボールを与えてしまう展開を繰り返した。