パスは全部愛情つき。
広島ひと筋19年の森﨑和幸、最後のメッセージ (5ページ目)
引退セレモニーで「人生のすべてだった」と語ったほど、誰よりもサンフレッチェ広島のことを思ってきた。だが、周囲をコントロールするボランチらしく、目立つことを嫌い、周りを気遣うからこそ、その思いや情熱を言葉にすることは少なかった。
だからこそ、その一挙手一投足に込められたメッセージを受け取ってほしい――。
サンフレッチェ広島は6連敗と苦しい状況に立たされている。チームメイトは森﨑のプレーからメッセージを受け取り、彼が追い求めてきた勝利で最終戦を飾ることができるか。
サンフレッチェ広島のレジェンドはこうも言っていた。
「自分はひっそりとでいいんです。だから、すぐに自分のことも忘れ去られるくらいのほうがいい。だって、それって次の選手が出てきたということですからね。自分のことを思い出してくれたり、言ってもらえるのはうれしいですけど、それはクラブの未来を考えたときには、いいことではないですから」
間違いなく、ひとつの時代が終わる。だからこそ、サンフレッチェ広島は、次なる一歩を踏み出さなければならない。ただ、それはけっして容易なことではない。
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