大宮アルディージャは7位に後退。「J2の沼」にはまりかけている (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Hiroki Watanabe/Getty Images

 J2は、もがけばもがくほどに足下を取られる舞台である。1年で昇格できるチームは、柏レイソルやガンバ大阪のように、J2をJ1王者となる"踏み台"とすることもある。しかし、3年、4年と這い上がれずに過ごすうち、舞台は"沼"と化す。次第に戦力を維持できなくなり、負け癖もついて、強化も一貫性がなくなる。

 その負の連鎖は強烈だ。かつてJ1で輝かしい時代を過ごした東京ヴェルディはJ2で10年目、ジェフ千葉は9年目、京都も8年目になる。大分トリニータに至っては、一度はJ3に降格している。

 やはり昨シーズン、J1に在籍していたヴァンフォーレ甲府とアルビレックス新潟は、すでに昇格の可能性が消えてしまった。J1から落ちたチームは、論理的にはJ2では優位にあるはずだが、額面どおりにはいかない。

 なぜなら、意気盛んに主導権を握る試合を試みても、相手はボールゲームを捨ててくる場合がしばしばあり、しだいに個人スキルの低下やチームとしての連係不足で場当たり的になっていく。プレー精度に欠けることで、勝負は拮抗し、偶発性に左右されるようになるのだ。

 京都に1-2で敗れた大宮は、7位に後退した。プレーオフ圏内の6位とは勝ち点2差。残り3試合は、前半戦で引き分けた相手ばかりだ。得点王争いのトップ(23得点)を走る大前の存在は心強いが、J1昇格への道は厳しい。

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