大宮アルディージャは7位に後退。「J2の沼」にはまりかけている (2ページ目)
前線で大前がボールを受けると、周りも信頼して走り出し、プレーが動き出すようになっていった。1年前までJ1チームだった"昔取った杵柄(きねづか)"だろうか。攻撃を創り出す形は、京都を凌駕していた。
その勢いで、後半は大宮が逆転するかにも見えた。
ところが、ビルドアップの細かいミスでプレーを途切れさせるなど、せっかくの攻勢に自分たちで水を差してしまう。気持ちだけが空回りし、性急な攻めに終始。たとえばマテウスは、ゴールに突進する姿は頼もしかったが、わざわざ角度のないほうに持ち出してスペースを狭めてしまい、自ら首を絞めていた。
「攻撃が単調というか、スピードを上げるのはいいけど、(テンポを)コントロールすることができなかった。もっと味方を使って、ボールを動かして......」(大宮・大前)
最後の10分、京都が闘莉王をバックラインに下げ、5-4-1という守備的な布陣にすると、大宮はFW富山貴光を入れ、4-1-5のような中盤を省略した形でパワープレーを敢行した。
しかし、相手の土俵に立つべきだったのか。パワープレー勝負では京都のほうに高さがあって、分が悪かった。むしろ、小柄な嶋田慎太郎が右サイドを崩して大前に折り返し、シュートがバーを叩いたシーンが一番、得点の匂いがした。
「ボールを握って、動かすようなサッカーをしたかった」
大宮の選手は、揃ってそう洩らしていた。焦らずに根気強く相手を崩すような攻撃を仕掛けていれば――。もっとも、その焦燥こそが昇格を義務づけられているチームの難しさかもしれない。
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