2018.10.20

鹿島で優勝する術を学んだ山本脩斗。
「満男さんがそれを示してくれた」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(33)
山本脩斗 後編

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 10月14日。ルヴァンカップ準決勝第2戦、対横浜Fマリノス戦。ホームで終了間際の失点で1-2と敗れた鹿島アントラーズが決勝進出するためには、この試合での勝利が絶対条件だった。第1戦に続き、この日も鈴木優磨はベンチ外。休むことなくピッチに立ち続けた結果のコンディション不良が原因だろう。そしてセルジーニョも先発を外れている。しかし、ベンチには久しぶりに、昌子源、山口一真の名前が並んだ。

 20分に先制した横浜は34分にも追加点を決め、第1戦同様に大津祐樹を中心に攻守に渡るハードワークを保ったままの勢いがあり、押し込まれたような鹿島は精彩を欠き前半を終える。

「3点獲るぞ!」

 ハーフタイム、ゴール裏の鹿島サポーターの声がスタジアムに響いた。失点しないことが条件だが、3つのゴールが決まれば、4-4。アウェイゴールの差で鹿島は勝ち上がれる。勝利が義務付けられた試合での2失点。しかし、ここで、折れてしまうことは許されなかった。

 ボランチの永木亮太に代わり、セルジーニョがピッチに立ち、鹿島の攻撃のエンジンがかかる。後半16分にはサイドバックの山本脩斗に代わり、山口が出場。サイドMFだった安西幸輝がDFラインに下がる。

 今季阪南大学から新加入したルーキーの山口。リーグ戦では第6節で初ベンチ入り。第8節で途中出場したが、出場時間は15分のみ。第11節で26分間出場したものの、その後は10分未満の試合出場が5試合あるだけで、ベンチ外になることも少なくなかった。そして8月19日の第23節を最後にベンチ入りすらできなくなった。

 中3日、中2日で試合が続く過密日程では、トレーニングもコンディション調整が中心となり、紅白戦を行うこともままならない。それでも連勝を続け、走り続けるチームのなかで、山口は置いて行かれたように存在感が薄れていく。

「今まで高校、大学と自分中心のサッカーをやっていたけれど、プロというのは、チームという組織のなかで、選手は駒という意識も必要になってくる。自分がどういうふうに駒になっていくのかっていうのを考えなくちゃいけなかった。1年目っていうのは、そう簡単に出番が回ってくるものとは、加入する前から思っていなかったけれど、ほかのクラブの大卒の選手が試合に出て、活躍しているというのを耳にすると、すごく悔しかった。なるべくそういうのは、聞かないようにしていたけど、どうしても耳に入ってくるので。試合に出ていないときは、いろいろ悩んだし、考えたし、どうすれば試合に出られるかを毎日考えた。そういうなかで、人としてもいろいろ考え方とかが成長していると思います。

 自分が一番意識したのが、食事のこと。大学時代は、結構食事をするときに、ジュースを飲んでいた。でもそれだと脂肪がつくので、今は、お茶や水しか飲まないようにしたり、野菜中心の食生活をとるようにしたり、コンビニでお菓子を買わないとか、プロとして当たり前のことをやるようになった」