中村俊輔が、F・マリノスの「新エース」
天野純に対して発したひと言

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by AFLO

"新旧エース対決"は、かつての"エース"が貫禄を示した。

 Jリーグ第27節、ジュビロ磐田と横浜F・マリノスが激突。同ゲームでは、F・マリノスの元エースであるジュビロの中村俊輔と、先日始動した新生・日本代表に招集され、F・マリノスの現エースである天野純との直接対決が注目された。

 中村は、18歳のときにプロ生活をスタート。3年目の1999年には「10番」を背負って、F・マリノスの中心選手になった。

 その後、2002年には活躍の場を"世界"に移した。海外の舞台でも輝かしい実績を残して、2010年に再びF・マリノスに戻ってきた。南アフリカW杯を見据えての帰国だったが、同W杯では主役の座を奪われて、苦しい時間を過ごした。

 普通の選手であれば、そこで選手生命が終わっていたかもしれない。しかし、中村は違った。苦しい状況のなかにあっても、そこからさらに成長する自らの姿をイメージし、トレーニングを重ねた。その結果、Jリーグの舞台で再度輝きを取り戻した。

 2013年には10得点を挙げるなどして、リーグ戦で優勝争いをするチームの躍進に貢献。JリーグMVPを受賞し、天皇杯では圧倒的な存在感を示してチームを優勝へと導いた。

 そして翌年、中村は再び「10番」を背負った。

「ミスター・マリノス」木村和司から、時代を越えて受け継がれてきた"エース"ナンバー。中村は、何度となく挫折を味わいながらも、そのつど奮起して、その背番号にふさわしい選手へと今一度上り詰めたのである。

 だが、2016年シーズン終了後、フロントの方針などに違和感を抱いて、F・マリノスを退団。ジュビロに移籍して、そこでも「10番」を背負い、40歳となった今なお、中心選手としてプレーしている。

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