齋藤学は思った。「4万人のブーイングも、きっと自分のプラスになる」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 是枝右恭●撮影 photo by Koreeda Ukyo

 自分も、止めて蹴るには自信がありましたけど、ケガ明けで最初に合流したときは、すごく狭いエリアでパスをつなぐので、慣れるまでに時間がかかりました。そのことについても、昨季加入した阿部くんですら、最初は苦労したという話をしてくれて。そこに合わせようとし過ぎるのではなく、僕には自分の武器があるんだから、そこを認めさせるほうが大事なんじゃないかって言ってくれたんです」

 ショートパスをつないでゴールをこじ開けるようとする川崎フロンターレのサッカーにおいて、ドリブルという武器で違いを出すことができる。それこそが、齋藤の最大にして最高の特長である。

「まずは、自分自身のパフォーマンスを上げることですよね。身体のキレであったり、ドリブルの速度であったり、動き、さらにはゴールへの意欲もそう。そうしたものを高めていければ、絶対に試合に出られると思っている。

 でも、自分が点を獲るためだけの動きをしていればいいかと言われたら、そこは違う。守備も含めてチームとしてやらなければいけないことは多いので、自分の我を出すことも必要かもしれませんけど、まずはチームが勝つための選択をしていきたい」

 復帰してからは、すべてが順調というわけではない。右ひざではなく、違う箇所を痛めてコンディションが上がらず、ロシア・ワールドカップによる中断前のリーグ戦出場はわずか6試合。うち先発出場は1試合にとどまっている。

「まだ6試合ですもんね。アシストもなければ、得点もしていない。自分が出て勝った試合も少ないので、何しに来たんだって思われているところもあるかもしれない。

 でも、僕には、自分を獲ってくれた人への責任がある。自分のサッカー人生を振り返れば、ずっと横浜F・マリノスにいた可能性もあるわけですよね。それを断ち切って、川崎フロンターレに来たということには、必ず何か意味があると思うんです。だからこそ、その分、僕は多くの人を喜ばせなければいけないと思っている。その義務が自分にはあると思うんです」

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