フリューゲルス消滅、アツは「天皇杯で優勝すれば...」と奇跡を信じた (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかし11月20日、全日空は「横浜マリノスとの合併は回避できない」と最終回答。それを受けて、『横浜フリューゲルスを存続させる会』は吸収合併回避の運動を断念することを決めた。

20年前のことを思い出しながら、淡々と語る三浦淳寛氏20年前のことを思い出しながら、淡々と語る三浦淳寛氏

 改めて、三浦が当時を振り返る。

「最終回答が出る前から、前田さんやモトさん(山口)から『(吸収合併撤回は)難しい』って聞いていた。もう日産と全日空とで決めたことだから、(クラブの上層部では)『いまさら何言ってんの?』っていう雰囲気だったらしい。それを、Jリーグも黙って見ていた。

 それでも、自分はまだ諦めていなかったですね。天皇杯で優勝すれば、何か起こるかなって思っていた。優勝するぐらいのチームなんだから、きっと新しいスポンサーが出てきてくれんじゃなかいかって。今思うと甘い考えなんだけど、その頃はそれを信じていた」

 12月2日、吸収合併の調印式が行なわれた。

 フリューゲルスのキャプテン山口らは、その日時を事前に通知してほしいとクラブ側にお願いしていた。だが、通知して現場が混乱するような事態を恐れたのか、クラブから選手たちには何の連絡もなかった。

 クラブ側の対応に、三浦もただ呆れるしかなかった。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る