引退した鈴木隆行が、指導者キャリアを町クラブの子供から始めるわけ (2ページ目)

  • 栗田シメイ●取材・文 text by Kurita Shimei

――指導者として直面した問題はありますか?

「それはもう問題だらけで。本当に人に教えるのって難しい。今はU-13までの子供たちをメインにコーチしていますが、まず説明するスキルが足りないことを痛感しています。子供たちが理解するには、どんな言葉で、どのように伝えるのがいいのか。そういった部分から日々勉強してます」

――なぜ指導者としてのキャリアを町クラブからスタートさせたんですか?

「指導者を志してから、Jリーグから海外まで、あらゆるカテゴリーでコーチとして活躍している方々と会い、話を聞いたんです。そこで先輩方に、『絶対にジュニア世代の現場から始めたほうがいい』と言われて。僕自身も現場で、イチから積み重ねていきたいと考えていたので、子供たちとじっくり向き合える環境を選びたかった。そんな中、清瀬さんからオファーをいただいたんです」

今後の指導者としての展望を語る鈴木 photo by Kurita Shimei今後の指導者としての展望を語る鈴木 photo by Kurita Shimei――2017年には町クラブ選抜を率いて、バルセロナ、マンチェスター・シティのユースチームと対戦していますね。

「今の子供たちって、僕の子供の頃に比べて技術がとても高いんです。『この子、センスがあるなー』と、感心する子もたくさんいる。それこそ、バルサやシティと比べても遜色ないくらい。

 差があるとすれば、気持ちの部分ですね。戦う気持ちや、覚悟の重さ。この点は、僕も海外に出て感じた差で、それは子供たちの年齢でも表れます。ちょっとした接触プレーひとつをとっても、将来的には大きな差となる。でも、気持ちの部分はすぐにでも変えられるんですよ。だから僕は、少しでも早く指導者の道に飛び込んで、そういった経験を伝えるための準備だけはしておこう、と」

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