長崎を奇跡のJ1に導いた、髙田社長のテレビ通販と似たクラブづくり
髙田明V・ファーレン長崎社長に聞く(2)
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サッカーも通販も人生を楽しむためのもの、人を幸せにするもの。通販事業で成功したノウハウは十分に通じる、と信じてV・ファーレン長崎を引き受けたという髙田明社長。その理念は見事にJ1昇格という形になって表れたと言える。
髙田氏が通販で成功した理由のひとつは、テレビメディアでのセールストークの豊かさにあった。15年ほど前には、髙田氏をモデルにしたと思われる民放のドラマも放送されて話題となったほどだ(『ツーハンマン』テレビ朝日系)。大げさに言えば、そのトークはモノに命があるように伝え、「あるといいですよ」というメッセージをリアルに感じさせた。
同じことは、それまで1試合の観客動員数が5000人程度だったクラブが、2017年ホーム最終戦では2万2000人という動員を記録したことにも通じるかもしれない。スタジアムの客席に監督のバナーが出ることは珍しくないが、長崎では髙田氏のバナーや顔のイラストがアイコンのように掲げられている。髙田氏のキャラクターも動員に寄与していることは間違いない。
去年のホーム最終戦、カマタマーレ讃岐戦ではトランスコスモススタジアム長崎に2万2000人を集めた
――そのドラマは草刈正雄さんが主演していたのですが、当時、このドラマがなぜ生まれたのかと考えたんです。そして大げさに言えば、髙田さんは通販界における手塚治虫なのかなと思ったんですよ。手塚さんが鉄腕アトムという機械に命を与えたように、モノに命を与えた。「これを持っていると楽しいですよ」「いいですよ」ということを、テレビを通じて実際に見せながら、隣にいる友人に言っているような感じで伝えていく。そういう思いがみんなに通じたから、今回もこの結果になったのかなとも感じているんです。
「そうであってほしいと思いますね。草刈正雄さんのドラマはもう20年くらいになりますね。私も何人かから言われたし、あれ、そう(自分がモデル)なのかなと思って見ていました(笑)。
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