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川崎Fの歴史は、中村憲剛の歴史。
いま感じる「やっぱ優勝はいいな」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 歴史を知る者の言葉には、ずっしりとした重みがある。おそらく、そこには何の誇張もない。

「長かった。長すぎて、このままタイトルを取れずに(現役を)辞めるんじゃないかと思った」

 中村憲剛が中央大学を卒業し、川崎フロンターレに入ったのは2003年のこと。以来、川崎ひと筋でプレーし続け、15年目のシーズンにしてようやく手にした初タイトルは、J1最終節での劇的な逆転優勝だった。

ついにタイトルを手にしたフロンターレの中村憲剛ついにタイトルを手にしたフロンターレの中村憲剛 ピッチで、ベンチで、スタンドで、はじける歓喜を目に焼きつけた中村は、感慨深げに「この景色が見たかった。15年、この景色を探していた」と、何度も繰り返した。

「人の感情が爆発する瞬間ってスゴいんだなって。それだけみんなが悔しいパワーをためていたんだと思う。そのパワーたるや数字には換算できない」

 待ちに待った初優勝にも、「まだ実感が湧かない」と口にする選手もいた。だが、中村は違う。37歳のチーム最年長は、顔をくしゃくしゃにして誰よりも無邪気に笑い、心底うれしそうに語った。

「やっぱ優勝はいいな。優勝は最高だな。優勝ってスゲーな。今、それを十分実感している」

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