栃木SCがギリギリで「泥沼」から脱出。J3の過酷さが身にしみた... (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 当然、「早くJ2へ昇格しなければ」の思いは強かった。しかし、「昨季は『1年で絶対に昇格するぞ』という気持ちで臨んだが、最後のところ(入れ替え戦)でチャンスをつかめなかった」

 廣瀬は険しい表情で「苦しいオフだった」と、失意のまま過ごしたシーズンオフを振り返る。

 だが、悶々(もんもん)とした日々を過ごすなかで、「(昇格を逃したまま)悔しい思いでチームを去らなければいけない選手もいた。彼らの分までしっかり戦おうと決めた」と廣瀬。「今年を(J3での)最後の1年にしてやる」。覚悟を決めて勝負のシーズンに向かった結果が、最終節での劇的なJ2昇格決定だった。

「2年間戦ってみて、J3は過酷なカテゴリーだと身にしみた。J2に戻れてホッとしている」

 そう語り、笑顔を見せるキャプテンは、ようやく少しだけ肩の荷を下ろすことができたのかもしれない。

 とはいえ、栃木にとってJ2昇格は通過点に過ぎない。来季は今季以上に厳しい戦いが予想される。昇格を決めたばかりにもかかわらず、横山監督が「優勝できなかったことで課題をもらったと感じている。チームとして来年J2で戦えるように準備したい」と、早くも来季へ目を向けるのも無理はない。

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