栃木SCがギリギリで「泥沼」から脱出。
J3の過酷さが身にしみた... (2ページ目)
今季こそ、絶対――。黄色に染まったスタンドには、ホームのサポーターを凌駕する悲壮な決意がみなぎっていた。
試合は、ある意味でタイトルがかかった大一番らしい展開で進んだ。
どちらもロングボールを多用し、一方がヘディングではね返したボールを、もう一方もヘディングで返し、浮いたボールの落下点では肉弾戦が繰り広げられる。ボールが地上を転がる時間が非常に短い試合は、決して内容的にレベルの高いものではなかったが、互いの負けたくないという思いが強く表れていた。
開始わずか7分にして、沼津がFW薗田卓馬のゴールで先制しても、展開に大きな変化はなかった。栃木のFW西谷和希が振り返る。
「互いにラフなサッカーになって、硬い試合になってしまった。グラウンダーのパスが少なく、もう少し自分が(試合を)落ち着かせられたらよかったけど......、前を向いてドリブルしたときにはチャンスを作れたが、その回数も少なかった」
ボールが行ったり来たりを繰り返すだけで、目立ったチャンスが生まれない試合展開に、黄色のスタンドからは次第に焦りの色がにじみ出た。昨季はリーグ戦のラスト2試合で1敗1分けと、波に乗れないままに挑んだ入れ替え戦で金沢に敗れた。そして今季もまた、最終節を前に5戦連続勝利なし(1敗4分け)の状態に陥っていた。
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