強く見えないから強い。
F・マリノスの「勝ちパターン」で王座奪還へ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 決して圧倒的な強さがあったわけではない。しかし、手堅さ全開のその試合運びは、強かったころの横浜F・マリノスを彷彿とさせるものだった。

F・マリノスの今季リーグ最小失点を支える中澤佑二F・マリノスの今季リーグ最小失点を支える中澤佑二 果たして、横浜FMは本当に強いのか――。リーグ戦13試合負けなしを続けているチームだが、どこか懐疑的な想いはぬぐえなかった。鹿島アントラーズのような勝負強さはなく、セレッソ大阪や柏レイソルのような勢いも感じられない。それでも、負けていないのだから弱くはないのだろう。

 ただし、「負けない」と「強い」はイコールでは結ばれない。清水エスパルスやサンフレッチェ広島といった下位チームにあっさりと引き分けてしまうところが、真の実力を表しているのではないか。それが試合前の横浜FMに対するイメージだった。

 8月26日、横浜FMはホームにFC東京を迎えた。結論から言えば、試合前のイメージは大きく覆されるものではなかった。

 立ち上がりから横浜FMは、実に手堅いサッカーを展開していた。前から献身的にプレスをかけ、中盤にボールが入れば複数人で囲い込む。サイドバックもリスクを負わず、自分のポジションをしっかりとケアし、ゴール前ではDF中澤佑二とDFミロシュ・デゲネクのCBコンビがしっかりとボールを跳ね返す。

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