福田正博が日本のサッカーに望む
「勝っている試合の終わらせ方」 (4ページ目)
もちろん、勝利のために泥臭くプレーするのは大切なことだ。ただ、履き違えてほしくないのは、それが求められるのは負けている状況で攻撃する場合でのこと。ポゼッションサッカーを極めるバルセロナでさえ、ビハインドで試合終盤を迎えた際には、高さのある選手を前線に置くパワープレーなど、ゴールを奪うためにあらゆる手を尽くす。しかし、ひとたびリードを奪えば泥臭さは消え、勝利を確実にするための華麗なパス回しが展開される。
もちろん、すべてのJリーグのチームに「バルセロナのようなサッカーをしろ」と言いたいわけではない。しかし、できることなら、パスサッカーを採るチームには勝ちゲームの終わらせ方でもそれを貫いてもらいたい。特にホームスタジアムでの試合なら、最後まで相手をパスで翻弄し、サポーターを沸かせるようなスタイルを志してもらいたい。それで失点して勝ち点を失ってしまったら、次の試合までに課題として改善する。その繰り返しがレベルの向上につながっていくのだから。
こうした提言をするのは、日本サッカーが「試合をどういった形で終わらせるか」を問えるまでに進歩してきたからだ。リードしている状況で時計の針を進めるために、さまざまなアプローチをするチームが出てくることを望みたい。それが、日本サッカー界全体の技術や戦術のレベルアップにつながると、私は信じている。
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