J1昇格候補のはずが低迷する松本山雅。
「あっさり失点病」は治るか
6月11日、松本。日差しは初夏だったが、風が火照る肌を冷やした。
「我慢の試合だった」
試合後、J2水戸ホーリーホックの選手はそう洩らしている。我慢して辛抱して、一発を叩き込んだ。どちらが優位かは明白な一戦だったと言えるだろう。
「内容は悪くなかったが、FK一発でやられた」
一方のJ2松本山雅の三島康平は、抑えたトーンでマイクの砲列に向かってそう言った。勝負の結末はしばしば酷薄だ。松本山雅を率いて6年目の反町康治監督。今季は現在15位と低迷している 試合の主導権を握った松本だが、結果は0-1と膝を屈した。これでリーグ戦は黒星が先行。順位は15位まで後退した。J1昇格レースは長丁場で、まだ猶予は残されているものの、危険水域に近づいている。
では、水戸戦は何がズレ、結果が逆になったのか?
「今シーズンを象徴するようなゲームだった」
松本の反町康治監督は、絞り出すような声音で語っている。
今シーズン、松本はJ1昇格最有力候補として発進した。
昨シーズンは84ポイントを獲得。例年なら優勝しても不思議ではない勝ち点だったが、3位で昇格を逃した。ただ、サッカーの質は確実に向上。ボールプレーの時間を増やし、幅を使った攻撃は迫力十分だった。
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