大宮が最下位脱出。新監督が見せた「降格圏でも勇敢に戦うサッカー」 (2ページ目)
そう鳥栖の選手たちは語っているが、ボールを大事にする、その意志をまず、大宮陣営は提示した。
攻撃の軸になっているのが、1トップに入った江坂任だろう。
江坂は積極的に2列目に落ち、ボールを受けた。そして江坂を追い越す形で、2列目の選手が前線に入っていく。江坂は動きの質が高く、あらゆる点でタイミングが抜群。例えばボールを受けに下がり、背後を寄せられると、すかさずダイレクトで横に叩いて、深みと幅を同時に創り出せる。ビジョンも広く、まるでバックミラーを装備しているかのように、全方位的に敵と味方を察知し、"前線のプレーメーカー"となった。
決して悪くはない立ち上がりだったが、守備に甘さが出た。
前半17分だった。左からのFK、完全にフリーになった趙東建にヘディングを叩き込まれている。
大宮はこの瞬間、ゾーンで守っていた。2人の選手の間に入られてしまったわけだが、間隔そのものが悪かったわけではない。しかし、もっと基本的なミスを犯していた。
「ゾーンをマークするのではない。ゾーンに入った敵をマークする」
それは欧州サッカー界で"指導要綱"にもなりつつあるポイントだが、Jリーグではゾーンディフェンスがまだ「ゾーンをマークする」という状態のままで、大宮もその例に漏れなかった。
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