ベルマーレとフジタ。暗黒時代を生き延びたからできた「幸せな再会」 (2ページ目)

  • 川端康生●文 text by Kawabata Yasuo
  • 写真提供:湘南ベルマーレ photo by(C)SHONAN BELLMARE

 そのコントラストがあまりに鮮明だからだろう、18年前の印象を問うと「暗黒」と、まったく同じ言葉がふたりの口から飛び出した。遠藤直敏と雲出哲也である。

 遠藤はクラブ最古参。いまやフジタ入社の唯一の社員だ。

「J1に上がるまでは暗黒時代というか、上しか見てなくて、語り合って、走り続けていた感じ。事務所が不夜城と呼ばれいて」

 一方、雲出はベルマーレ平塚としての入社第1号。1994年、チームがJリーグに昇格する際に採用され、営業部に配属された。

「当時はスポンサーやサプライヤーが、僕らが営業しなくてもフジタの関係で手に入っていたんです。撤退してから、そのありがたみがわかった。それからの10年は......二度とJ1になんか上がれないんじゃないか、という暗黒の気分でしたね」

 だからこそ、フジタへの感謝も身に染みている。

「借金ゼロで、2億4100万円の資本金を残し、グラウンドも使えるようにして......。愛のある撤退ですよ。あれがなかったら、フリューゲルスのように消滅している。今回もスポンサーとして戻ってくれて。そんな"親"をがっかりさせないようにしなければいけません」

 遠藤はいまも中国地方でのアウェーゲームの際に、広島にいる重松良典(ベルマーレ平塚元社長)のもとを訪ね続けている。

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