ベルマーレとフジタ。暗黒時代を
生き延びたからできた「幸せな再会」 (6ページ目)
かつてフジタの社員でもあった元日本代表GK小島伸幸が感慨深げに話していた。
「今回、まずうれしかったのは、自分が以前いた会社がスポンサードできるくらい業績が戻ったこと。お世話になった人たちもいるからね。そして、ベルマーレも存続していたからこそ、こういう話になった。どちらかがなくなっていたら起こり得ないわけだから」
そうなのだ。ともに存続の危機に瀕しながら、それでもともに存続し続けたからこそ、再びともに歩むチャンスがやってきた。
選手たちの左肩にある『FUJITA』のロゴ。それは、ベルマーレとフジタが別々に挑んだ18年間の戦いに勝利した証(あかし)でもあるのだ。
さらに小島は続けた。
「そして、その両者のつながりが切れてなかったこともうれしいよね。だって藤和不動産があって、フジタがあって、それぞれの時代に関わった人たちがいて、日本リーグの強豪に育て上げたから、ベルマーレがJリーグにいるわけだから」
改めて時代を俯瞰(ふかん)すれば、藤和不動産サッカー部が創部された1968年は、メキシコ五輪で日本が銅メダルを獲得した年であった。その4年前、東京でオリンピックが開催され、翌年には日本スポーツ界初の全国リーグ「日本サッカーリーグ」が創設。日本サッカーが現代へ向けて歩み始めた時期である。
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