中村憲剛の司令塔は妻「彼女と出会って、僕の人生はすべてが好転した」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ、あのスピーチには続きがあった。「僕の間(ま)の取り方が悪かったのかもしれない」と、中村は大切なことを言いそびれてしまったことをはにかむ。本当は最後に「普段は照れくさくて言えない」という妻・加奈子さんへの思いを伝えるつもりだったのだ。

「何よりも妻に感謝したい」

ずっと支えてくれた夫人への感謝の気持ちを語る中村憲剛ずっと支えてくれた夫人への感謝の気持ちを語る中村憲剛 中央大学サッカー部が関東2部に降格した4年生のときに、マネージャーとして入ってきた加奈子さんに出会ったことで、「僕の運命は変わった」とまで言う。

「それから、関東2部リーグで優勝して1部に復帰できたし、僕はフロンターレに入ることができた。その後、フロンターレもJ2で優勝して、J1で優勝争いできるようになって、僕自身は日本代表にも選ばれて......彼女と付き合って結婚してから、僕の人生は落ちてないんですよ」

 大学時代は特に「頑固だった」と言う中村は、加奈子さんと付き合い、ともに時間を過ごすことで、人間的にも成長した。

「もともと僕は口が悪いというか、思ったことをズバッと言ってしまうところがあったんです。真っ直ぐすぎて、特にサッカーのことになると、すぐに熱くなってしまうというか。それが、彼女と付き合うことで、多少丸くなったというか(苦笑)。あと、彼女が卒業間際に、当時のJリーガーの平均引退年齢が26歳だというニュースを見て、もし僕がクビになったら『私が働いて稼ぐ』と自分に言ってくるくらい彼女は自立心が強くて、今も3人の子どもを育てながら、自分のこともあれこれやっている。僕はもう4人きょうだいのひとりって感じで、家では彼女が司令塔です(笑)」

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