俊輔の移籍は理解できても、
マリノスで起きていることは理解不能だ

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 名門、横浜F・マリノスが揺れている。

 先日はクラブの英雄的存在だったMF中村俊輔が、ジュビロ磐田への移籍を発表。クラブに対する批判、不満は頂点に達した。これを受けて、横浜FMは異例とも言える釈明文を出すことになった。そして、社長は就任わずか1年での交代が明らかになっている。

 では、岐路に立った名門の実状とは......。

中村俊輔は名波浩監督のいるジュビロ磐田への移籍を決断した中村俊輔は名波浩監督のいるジュビロ磐田への移籍を決断した 横浜FMのマネジメントが不安定になった理由を、ひと口で解き明かすのは難しい。

 体質として問題視される点は、以前からあった。たとえば経営面では、本拠地だったマリノスタウンの運営に年間6億円もの賃料を10年間支払い、結局は払い切れなくなって潰すことに。今や「宿なし」の状態である。また強化面では、かつてチームのシンボル的選手だったDF松田直樹の処遇を巡っても、「功労者に冷たい」と批判が沸騰し、ネガティブな印象を残している。

 もっとも、横浜FMに限らず大きなクラブはマイナス面も抱えるものである。

 では、なぜ今、クラブの未来が危ぶまれる重大な事態に陥っているのか?

「2014年7月にシティ・フットボール・グループ(CFG)が経営に参入して以来(約20%の株を取得)、チームを翻弄している」

 その意見は根強い。昨年3月にスポーティングダイレクターに就任したアイザック・ドルは、"シティの代名詞"として不評を買っている。その顔は公(おおやけ)には見えてこないのだが......。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る