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「完璧だった」アントラーズ。自らの
手の及ばぬところで誤算は起きた (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「第1戦はホームゲームだったので、最低でも相手に得点を奪われない形にしたかった」

 試合後、鹿島の石井正忠監督もそう語っていたが、試合展開次第では「第1戦は0-0の引き分けでもOK。勝負は埼玉スタジアムでの第2戦」という思いもあっただろう。

 ところが、昌子が「PK以外は完璧だった。そんなにやられる雰囲気はなかった」と話したように、思わぬところに落とし穴が待ち受けていた。

 後半56分、右サイドでパスを受けた柏木がゴール前にクロスを入れると、ボールに向かって動き出した浦和のFW興梠慎三と、後ろから追いかけた鹿島のDF西大伍が接触。つまずくように興梠が倒れた瞬間、レフリーの笛が鳴った。

 このファールによって得たPKを浦和のキャプテン、MF阿部勇樹が冷静に決めて先制。鹿島はあまりに痛いアウェーゴールを与えてしまったのである。

 昌子が言うように、鹿島がやられる雰囲気はまったくと言っていいほどなかった。ファン・ソッコは「前半は意図した通り、相手の攻撃をコントロールしてインターセプトを狙うことができたが、後半は少し体力が落ちて、前半ほどタイトにいけなくなった」と振り返ったが、とはいえ、致命的な破たんをきたすほどに、鹿島の選手たちの動きが悪くなっていたわけではない。

 率直に言って、PKのジャッジはかなり際どいものだった。

 まったくのミスジャッジとは言えないまでも、一般的な判定基準で言えば、ノーファールでも何ら不思議はないプレーである。少なくとも鹿島側に立てば、納得し難いプレーであることは間違いない。

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