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愛するセレッソをJ1へ。手負いの
エース・柿谷曜一朗の悲壮な覚悟 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 説田浩之●撮影 photo Setsuda Hiroyuki

 当初、柿谷のケガは全治4週間と診断されていた。しかし、その後の経過は思わしくなく、8月に入り、ついに手術に踏み切った。

 ようやく柿谷が戦列復帰したのは11月6日、J2第40節愛媛FC戦のこと。5カ月間もの長きにわたり、エースであり、キャプテンでもある大黒柱を失ったセレッソは、J1へ自動昇格できる2位からは大きく後れを取り、J1昇格プレーオフに昇格の最後の望みをかけるしかない状態に陥っていた。

 だがしかし、いや、だからこそと言うべきか、ラストチャンスを前に柿谷がチームに戻ってきてくれたことは、セレッソに関わるすべての人にとって、これ以上ない朗報だった。

 そして迎えた、負ければ終わりの京都戦。すでにリーグ戦のラスト2試合に先発出場し、試合勘を取り戻し始めていた柿谷は、エースストライカーにふさわしい大仕事をやってのける。

 両チームとも濡れたピッチに戸惑い、まだまだ試合が落ち着かない前半13分だった。MF山口蛍からのパスを受けたMFソウザが遠目から強烈なシュートを放つと、京都のGK菅野孝憲がこれをセーブ。セレッソサポーターの歓声がため息に変わろうとしたその瞬間、こぼれたボールにすばやく走り寄ってきた選手がいた。

 柿谷である。

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