闘莉王の「選手にできることは限られる」発言が示すグランパス降格の闇
2016年11月3日、パロマ瑞穂スタジアム。試合終了を告げるホイッスルが鳴り響くと、スタンドが静かにざわつき始める。声という声にならない、落胆、悲しみ、あきらめ、そして怒りの感情か。
「絶対に落とさないって約束したじゃねぇか! どういうこうとだよ、ふざけんじゃねぇよ。(小倉隆史)GMはどこいったぁ?」
目を血走らせたサポーターが関係者席に向かい、怒鳴り声をあげる。それに連鎖するように、各所で野次が飛ぶ。どれも剣呑(けんのん)とした響きがある。
もっとも、大半の人々は心配げに見守るしかない。
最終戦後、客席に挨拶する(左から)田口泰士、久米一正社長、ジュロヴスキー監督「今年を謙虚に反省し、1年でJ1に戻れるように......」
久米一正社長が試合後の挨拶に立つと、読み上げたような空疎な言葉が、怒気を含んだブーイングにかき消された。
93年のJリーグ開幕以来のメンバーである名古屋グランパスはこの日、J2に降格することが決まった。
なぜ、名門は降格することになったのか? それはミステリーではない。
首脳部のマネジメントが杜撰(ずさん)だった。それに尽きるだろう。
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