森﨑浩司とのかけがえのない思い出。
1年前に聞いた「引退」の二文字 (6ページ目)
双子の兄・和幸(左)と弟・浩司(右)。森﨑兄弟はいつも広島の中心にいた そこには双子だからわかる、双子にしかわからないシンパシーがある。和幸は言う。
「あいつは昔から大舞台に強かった。だから、何となくそう思ったんですよね。実際、本当に決めるところはさすがですけどね」
森保一監督は、浩司の背番号7にちなんで後半7分に交代させようとしていたが、後半8分に浩司がピッチを去るときに抱き合った和幸は、試合中にもかかわらず、涙が止まらなかったという。
「しばらく目がにじんで、プレーするのが大変でした。試合中にこんなに泣いたのは、生まれて初めてです」
10分近いスピーチは、兄への賛辞にあふれていた。ただ、もうひとり、浩司が惜しみない感謝を伝えたい相手がいた。その人こそ、彼が長年まとってきた背番号7をその前に背負っていた人物――現監督の森保一である。
(後編に続く)
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