2016.06.19

【育将・今西和男】森山佳郎「入団してきた選手全員を成長させる」

  • 木村元彦●文 text by Kimura Yukihiko photo by AFLO

 坊主ではなかったが、それから努力してプロになった。2007年U-20のW杯にも出場し、現在は森山の故郷である熊本のチームにいる。「ゴリさんと寮長さんのおかげで、今の自分がある」と言ってくれた。

 現在大宮にいる大屋翼は厳しくすると、よくいじけた。「そんな態度なら帰れ」としかると、本当に帰ってしまった。森山はその都度、辛抱強く説教を重ねた。3年生の3冠がかかった最後の試合の前、大屋はこっそりとやって来て耳元で囁いた。「今日はゴリさんのためだけに戦う」。それだけ言うとピッチに向かって行った。結果、PK戦で負けると「ごめんなさい」と号泣し、その姿を見て思わずゴリさんももらい泣きしてしまった。

 選手の数だけ人生がある。森山は誰ひとりとして手を抜かずにぶつかってきた。今は代表監督として選手を見ている。当然ながら15歳で日の丸を背負うくらいであるから、幼少期からのエリートである。広島時代とは選手のタイプも性格も異なる。こんな激励をしている。

「お前らは今、代表だけど、15歳で呼ばれてA代表に残れたやつはほとんどいないぞ。逆に本田や長友や岡崎はその年齢でどうだった? 代表にも呼ばれない連中がこれから凄い覚悟で向かってくる。このままだと消えていくんだぞ」

 危機感をあおって慢心を引き締めている。頼もしい人材もいる。バルセロナの下部組織にいた久保建英(たけふさ)はまったく物怖じせずに、ピッチの中でも外でもコミュニケーションを取ってくる。

「常にゲームに関わって声を出してますよ。ここに出せ、あいつだ、そっちじゃないだろって。先輩でも遠慮しない。ああいうメンタルの奴は集団にとってもまた面白いですね」