監督交代で4連勝。柏レイソルの強さは「日本のアトレティコ」か (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 追加点を決めた後は、気落ちした相手を苛立たせるボール回しで退けている。

「監督には『もう少しボールを持つ時間を増やして』と送り出されましたね」

 後半26分に交代出場した主将の大谷秀和はポゼッション率を上げ、淡々とゲームをクローズしている。

「シモ(下平)さんは、柔軟な監督だと思います。自分たちのやりたいのはポゼッションだけど、それだけにこだわりすぎない。相手のやり方次第で人もシステムも変えられる」

 下平監督は果断な勝負師かもしれない。例えば3連勝の立役者だったセンターバック増嶋竜也を、神戸の戦い方を見極めてベンチに置いている。それは一つの賭けだった。もし負けていたら、ロッカールームに不信感が生じかねない。現役時代に「削り屋」で鳴らした指揮官は、戦える集団を作り上げようとしているのだろう。流麗なパスワークはクラブの伝統だが、相手に食らいつくような攻守も浸透しつつある。

 柏は4連勝で4位まで順位を上げた。先発11名の平均年齢は22,91才と若く、なんと8名が下部組織出身者。チームのオートマチズムはさらに成熟するだろう。

 大谷は充実した顔つきで言った。

「柏の強さが本物か? うーん、それは分からないです。でも、したたかには勝ててますね」

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