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F・マリノス、手負いの広島に完敗。「相手をリスペクトしすぎ」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 もどかしさが募り、心は乱れた。チームの意思統一の部分で連係にズレが生じ、各選手の足並みがそろわない。

「攻めたいんだけど、ずっと"空ぶかし"をしている感じでしたね。広島をリスペクトしすぎたというか。今日は自分たちに負けました」

 この日、チーム1、2のプレーを見せた右サイドバックの小林祐三は語っている。どこかちぐはぐだった。後半70分、F・マリノスは小林のクロスに中村俊輔がヘディングで合わせると、相手DFの手に当たり、PKで同点とすることに成功した。ところが直後、中村は気がはやったのか、ファウルの笛が鳴る前にボールを手でつかみ、ハンドの反則からパスを通され、再びウタカに逆転弾を叩き込まれてしまう。

「同点に追いつかれても踏みとどまって戦った。これまでの経験で、選手たちは心身ともに逞しくなったと思います」

 広島の森保一監督は、そう言って胸を張った。

「選手は(ACL敗退直後で)メンタル的に難しい中、踏ん張りをきかせてくれました。不測の事態を乗り越えてこそ、高みに立てる。運動量を上げる戦いができない中、選手は戦況を見極め、勝つサッカーをやってくれました」(森保監督)

 その粘り強さは王者の貫禄とも言えるか。

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