負けても焦るな。FC東京がスタイル大変換で味わう産みの苦しみ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

今シーズンから再びFC東京の指揮を執る城福浩監督今シーズンから再びFC東京の指揮を執る城福浩監督 監督が変われば、目指すサッカーも変わる。当たり前のことではあるのだが、ここまで変化の振れ幅が大きい例も珍しいのではないだろうか。

 FC東京のことである。

 FC東京は今季、新たに城福浩監督が就任。DFラインからしっかりとパスをつないで攻撃を組み立てるサッカーに取り組んでいる。昨季まで2シーズン、チームを率いたマッシモ・フィッカデンティ監督(現・鳥栖監督)が、徹底して守備を固め、攻撃はロングボールを多用した縦に速い攻めを優先していたことを考えれば、志向するサッカーは180度、向きを変えたと言ってもいい。

 前者が、自分たちでボールを保持する時間をできるだけ長くしようとするサッカーなら、対照的に後者は、ボールを保持する時間を短くしようとするサッカーである。

 どちらがいいサッカーだと思うかに、絶対的な物差しはなく、好みの問題だと言うしかない。カルチョの国、イタリアから来たフィッカデンティ前監督にしてみれば、後者ほど理想的なサッカーはないということになるのかもしれない。

 だが一般的に、より好感を持たれるのは、前者のほうだろう。

 昨季FC東京との試合後に、横浜F・マリノスのフランス人指揮官、エリク・モンバエルツ監督が皮肉まじりに、こんなことを話している(J1セカンドステージ第11節。横浜FMが88分に決勝点を奪い、1-0で勝利)。

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