2015.12.17

常勝アントラーズの大黒柱。小笠原満男が示す「プロの矜持」

  • 佐野美樹●文 text&photo by Sano Miki

 10月31日、ナビスコカップ決勝。試合終了のホイッスルが鳴ると、小笠原満男は足もとにあったボールを軽く蹴り上げて、大きく息をついた。派手なガッツポーズを見せるでもなく、その姿からは喜びよりも、3年ぶりのタイトル獲得に安堵する思いがにじみ出ていた。

今季も圧倒的な存在感を示していた鹿島の小笠原満男 鹿島アントラーズの、2015年シーズンの幕開けは惨憺(さんたん)たるものだった。4年ぶりの出場となったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)初戦で、ウエスタン・シドニー・ワンダラーズに敗戦を喫すると、そこから、開幕したJリーグの試合を含めて5連敗。ホームのカシマスタジアムは、しばらくの間失意の状態が続いていた。

 ようやく勝利を手にしたのは、シーズン開幕からおよそ1カ月後の4月3日、Jリーグファーストステージ第4節のサガン鳥栖戦だった。しかし、その後も勢いに乗ることはなく、ACLはグループリーグ敗退。Jリーグでは、優勝争いからは大きく離れた中位を彷徨っていた。

 その頃、チームの精神的な支柱である小笠原が、よく口にする話題があった。それは、若い選手たちの”おとなしさ”“覇気のなさ”である。

「まず『俺にボールを寄こせ!』っていうのがない。何か言われると、シュンとしてしまうし……。(若い選手は)もっと生意気で、やんちゃなぐらいでいいんだけどな」

 事実、シーズン序盤に何度か取材に訪れた際、その練習風景はあまりに静かだった。活気がなく、どちらかと言えば、重苦しい雰囲気が感じられ、これがあの”常勝軍団”鹿島なのか、と目を疑ったほどだ。