サンフレッチェの敗戦に「世界との差」という結論づけは必要ない
試合後の取材エリアに表れたキャプテンのMF青山敏弘は、終始険しい表情のままだった。
「自分たちのサッカーができなかった。それが敗因。もっと"サッカー"をしなきゃいけない。我慢しかしていなかったんで。それでも前半は我慢しながらチャンスを作っていたが、後半は効果的なプレーがなかった。言ってみれば、腰が引けたのかなと思う。負けるべくして負けた気がする」
12月16日、大阪・長居スタジアムで行なわれたFIFAクラブワールドカップ準決勝。南米代表のリバープレート(アルゼンチン)と対戦したサンフレッチェ広島は、0-1で敗れ、この大会での日本勢初の決勝進出はならなかった。
サンフレッチェ広島は前半、FW皆川佑介が何度か決定機を作ったが...... 広島にも勝つチャンスは十分にあった。キャプテンは悔しさから厳しい言葉を並べたが、広島は自分たちらしさをまったく出せなかったわけではない。
J1のリーグ戦を見ても、広島はすべての試合で、ボールポゼッションで上回る戦いをしてきてはいない。相手に主導権を握られても、まずはその攻撃をしっかりと受け止め、耐えながら勝機を見出す。そんな戦い方ができるのも広島の強さの理由だった。
つまり、今回のリバープレート戦は、広島が特別に"弱者の戦い"に徹したわけではない。パスワークでアフリカ代表のマゼンベ(コンゴ民主共和国)を圧倒した準々決勝とは異なる戦い方ではあったが、これはこれで広島らしさであり、広島の"もうひとつの顔"である。
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