「J1に戻りたい」山口蛍が率いるセレッソ大阪に勝機はあるか

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Osada Yohei/AFLO SPORT

 セレッソ大阪がJ1復帰まで、あと1勝に迫った。

 11月29日に行なわれたJ1昇格プレーオフ準決勝で、愛媛FCと対戦したセレッソは0-0の引き分け。引き分けの場合はリーグ戦順位の上位クラブが勝ち上がるというルールによって、セレッソが決勝進出を決めた(リーグ戦はセレッソが4位、愛媛が5位)。

「雰囲気がいつもとちょっと違った。緊張感がある試合だった」

 MF関口訓充がそう振り返ったように、負ければ終わりの一発勝負は、知らず知らずのうちに、選手たちの重心を後ろに下げさせた。後半こそ、幾分改善は見られたものの、決定的と呼べるチャンスはそれほど作れなかった。

 試合内容を考えれば、スコアレスドローは妥当な結果。セレッソはルールを生かしての勝ち上がりだった。

 キャプテンのMF山口蛍は、「引き分けはチームとして考えていなかった。どうしても勝って(決勝へ)行きたかった」と言いつつも、「上がれたのでひと安心」と胸をなでおろした。過去のJ1昇格プレーオフを見ると、リーグ戦下位のクラブが上位を破る"下剋上"が頻発しているだけに、山口の言葉には重みがあった。

J1昇格プレーオフ決勝に臨むセレッソ大阪の主将・山口蛍。J1昇格プレーオフ決勝に臨むセレッソ大阪の主将・山口蛍。 さて、いよいよ次はJ1昇格をかけた大一番である(12月6日/大阪・長居)。

 セレッソが決勝で勝てば、1年でのJ1復帰が決まるが、負ければもう1年J2で過ごさなければならない。「メンバーを見てもJ1にいなくちゃいけないチーム」(山口)にとっては、絶対に落としたくない、落とせない試合である。

 今季開幕前、セレッソは間違いなくJ1昇格候補の筆頭格だった。J1でも上位を狙えるほどの充実した戦力は――事実、昨季はAFCチャンピオンズリーグを戦っていたのだ――、J2では圧倒的なものに見えた。

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